7/13~30「この病気にならないと理解できないと思います。どうせ、他人事でございましょう」展

「この病気にならないと理解できないと思います。どうせ、他人事でございましょう」展

期間等:2023年7月13日(木)-7月30日(日)
開館時間:11時~18時(入場は17:30分まで) 休館日:月曜日
入場料:無料
問い合せ:NPO法人シアターネットワークえひめ 担当:森本しげみ
tel:089-904-5173(風のねこ)

文化庁委託事業
「令和5年度障害者等による文化芸術活動推進事業」精神障がいのある人の表現活動推進事業」
主催:文化庁  NPO法人シアターネットワークえひめ
協力:NPO法人アートNPOリンク、 医療法人社団 味酒心療内科、 一般財団法人創精会 地域活動支援センターステップ、 社会福祉法人 きらりの森、 就労継続支援B型事業所 風のねこ
【展示作品】
①「わたしの幻聴幻覚」プロジェクト 2021年~現在
・幻聴幻覚カード(原画)、幻聴幻覚4コママンガ
・幻聴幻覚台本
・映像:幻聴幻覚ワークショップ等
②飯山由貴
・映像「あなたの本当の家を探しにいく」2013年/33:53
・映像「海の観音さまに会いにいく」2014年/21:17
・映像「hidden names」2014,2021年/25:40

【ギャラリートーク(各回14:00~15:00)】

進行:森本しげみ(NPO法人シアターネットワークえひめ代表理事)

第1回 7/15(土) 14:00-15:00
話す人:
有門正太郎(俳優、演出家、劇作家)
飯山由貴(美術作家)
《わたしの幻聴幻覚》関係者
○有門正太郎(俳優、演出家、劇作家)
倉本聰主宰「富良野塾」、泊篤志代表「飛ぶ劇場」を経て、「有門正太郎プレゼンツ」を始動。
芸術劇場「日韓 合同キャンプ~チャレンジ!えんげき~」総合演出、かすがい市民文化財「演劇× 自分史」作・演出も務める。佐藤佐吉賞優秀主演男優賞受賞(2016)

○飯山 由貴(美術作家)
神奈川県生まれ。東京都を拠点に活動。
映像作品の制作と共に、記録物やテキストなどから構成されたインスタレーションを制作している。過去の記録や人への取材を糸口に、個人と社会、および歴史との相互関係を考察し、社会的なスティグマが作られる過程と、協力者によってその経験が語りなおされること、作りなおされることによる痛みと回復に関心を持っている。 近年は多様な背景を持つ市民や支援者、アーティスト、専門家と協力し制作を行っている。
近年の主な展覧会として、個展に2022年『あなたの本当の家を探しにいく』(東京都人権プラザ、東京)グループ展に2022年『地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング』(森美術館、東京)、2020年『ヨコハマトリエンナーレ2020 Afterglow – 光の破片をつかまえる』(横浜美術館、神奈川)

【次回以降】
第2回 7/16(日)
ゲスト:仙石桂子(四国学院大学社会学部准教授) 話す人:《わたしの幻聴幻覚》関係者
第3回 7/23(日)
話す人:和泉明子(㈱MIDORIYA代表取締役)、富久千愛里(美術家)、《わたしの幻聴幻覚》関係者
第4回 7/29(土)
ゲスト:伊藤義徳(人間環境大学総合心理学部教授) 話す人:《わたしの幻聴幻覚》関係者

【シンポジウム「共に生きる社会ってなに?~表現やアートができること」】

日時:2023/7/22(土)13:00-16:00
場所:シアターねこ(愛媛県松山市緑町1-2-1)
料金:無料
お申し込み:申込みフォーム https://forms.gle/AYNdWXBvz48cm1cW9
13:00-13:45 第1部
テーマ:「OUTBACKアクターズスクールの活動紹介」
進行:大澤寅雄(文化生態観察/NPO法人アートNPOリンク理事長)
ゲスト:中村マミコ(OUTBACKアクターズスクール校長)
13:45-14:00 休憩
14:00-16:00 第2部
テーマ:「共に生きる社会ってなに?~表現やアートができること」
進行:戸舘正史(文化政策/アートマネジメント)
ゲスト:大澤寅雄(文化生態観察/NPO法人アートNPOリンク理事長)
土谷 享(美術家)
中村マミコ(OUTBACKアクターズスクール校長)
森 真理子(厚生労働省 障害者文化芸術計画推進官)

【開催趣旨】

NPO法人シアターネットワークえひめでは、2020年度より文化庁委託事業において、精神疾患による幻聴幻覚を聞き取りし、絵や言葉にした幻聴・幻覚カードを使って幻聴幻覚ワークショップを行ってきました。現在までの取組みの中間報告として幻聴幻覚ワークショップ等の映像や《幻聴幻覚カード》の原画の展示をします。

また、美術作家・飯山由貴の映像作品を展示します。飯山が精神障がいのある妹と他の家族とともに制作した《あなたの本当の家を探しにいく》《海の観音さまに会いにいく》そして、戦前まで東京にあった王子脳病院の症例誌(診療録)の資料を研究する歴史研究者へのインタビュー《hidden nemes》などを展示します。

幻覚を主な症状とする統合失調症は、世界に100人に1人弱の割合で現れる病気です。精神疾患も多くの疾患と同じようにまるで交通事故のような偶然で罹患します。精神疾患、精神障がいは、見えにくい疾患のため「わからない・知らない=こわい」などの偏見の対象になってきました。ですが、根深い差別と偏見のため、精神疾患本来の困難だけでなく、日常生活や社会生活、多くの人が当たり前に描く未来にも様々な生きづらさを伴います。そして、その生きづらさの中で思いがけず命を落としてしまう人たちもいます。その人たちも私たちのようにあるがままの自分で平和に暮らすことを願っていたはずです。

「この病気にならないと理解できないと思います。どうせ、他人事でございましょう。」この言葉は、幻聴幻覚の聞き取りで出会った、精神障がい者福祉支援施設に通うヒアリング参加者の言葉です。

シアターネットワークえひめは、幻聴幻覚の表現に関わる取組みを重ねながら、障がいのある人と障がいのない人が幻聴幻覚に向き合い、語り合い、互いに不安や葛藤を抱きながら共感の場を少しずつ開いてきました。精神障がいのある人たちの言葉に出会い、幻聴幻覚について知ることは「他人事にしない」社会にしていくための活動です。

【参考】「わたしの幻聴幻覚」プロジェクト概要

シアターネットワークえひめは、2021年3月より《幻聴幻覚カード》(幻聴幻覚や妄想を絵と言葉で表現)や《幻聴幻覚台本》(幻聴幻覚の体験を台詞化)を活用して、様々な分野のアーティストと幻聴幻覚ワークショップを開催してきました。2022年度より《幻聴幻覚台本》を使い、ワークショップ会場にいる人たちとともに幻聴幻覚世界を知るための演劇的な手法を取り入れています。また、市内の医療や福祉施設に赴いて幻聴幻覚をヒアリングし、美術家や絵画を得意とする精神障がい者が《幻聴幻覚カード》を作成することで、幻聴幻覚のある人たちの人柄や日常の暮らしが少しずつ表現できるようになりました。

このプロジェクトの初期は、精神障がいのある人とアーティストが不安を抱きながら出会いました。そして、見学者を招くなど開かれた場にするためのストレスを感じながら事業を継続しています。回数を重ねることで、互いが知り合い、障がいのある人、障がいのない人の枠組みを超えた対話がみえるようになりました。